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偽文士日碌

十月二十三日(月):1075-1076

「続・時をかける少女」を舞台化しているそうだが、こちらには何の
挨拶もない。まあいいけど。
 三時過ぎ、郡司珠子が迎えに来てくれて帝国ホテルへ。山田風太郎
賞の選考会なのである。夢枕獏が菊池寛賞とミステリー大賞を取った
ので祝いを述べる。選考会が始まり、おれは林真理子と一緒に柚木裕
子「盤上の向日葵」を推したのだが、結局、一点差の池上永一「ヒス
トリア」に押されて譲歩してしまった。残念だったが、どちらも二作
受賞を主張するほどの大傑作ではなかったのである。贈賞式の選考経
過報告は奥泉光がやることに決定。
 そのあとはいつもの通り隣の部屋でビュッフェ形式の食事だったが
コンパニオンが次つぎに料理を運んできてくれる。最近中学生にコン
パニオンをやらせたとして問題になっているが、今夜のお嬢さんたち
はどう見ても中学生ではなかった。ハイボールを飲みながら料理を食
べ、「腹一杯食べてもどんどん痩せるのはなぜか」などと喋る。京極
夏彦が記者会見に立っているうちに受賞者の池上君が到着、以前彼の
「テンペスト」を評価し、その後「シャングリ・ラ」の解説を書いた
ことなどを話す。記者会見に立った池上君は記者の質問に答えてなん
と四十分も喋っていた。帰途、ホテル前まで真理子さんと一緒だった
ので、フライデーされることを狙って腕を組んで出る。また郡司さん
に送ってもらって八時過ぎに帰宅。
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