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偽文士日碌

十二月十一日(月):1085-1086

「白笑疑」に、北からいっぱい船が来ると書いたら、その通りになっ
ちまった。まだ書き終えてもいないうちにこんな早くから実現しては
予言にならんではないか。この短篇の一節をご紹介しておこう。「歴
史認識などと言っているうちに歴史が逆行して、ああ哀れ時をかける
少女像」。
「ダークナイト・イン・ミッドナイト」は「文學界」丹羽健介の進言
に従ってタイトルを「ダークナイト・ミッドナイト」に変更。自動的
に「白笑疑」は「新潮」へ渡すこととなる。
「群像」の嶋田哲也から七十二候のうちの立秋の三候をタイトルにし
た短篇の依頼。「蒙霧升降」にでもしようか。まだだいぶ先の締切だ
が、もう連載は始まっていて、第一回目の先陣は瀬戸内寂聴。いやは
や凄い人だよこの人は。
「残像に口紅を」をカズレーザーが紹介して以来、増刷に次ぐ増刷で
びっくりしている。十何年かぶりの十三刷りに始まって現在十六刷り
で、それだけで八万五千部、初版刊行以来二十八年で累計二十三万部
を突破した。昔の苦労が歳をとってから報われるというのは実に気分
のいいものだ。 
「現代作家アーカイヴ2」が送られてきた。インタヴューされている
作家の中で谷川俊太郎と石牟礼道子の二人が歳上。歳下は横尾忠則だ
け。
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