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偽文士日碌

五月十五日(火):1109-1110

 今日は午後二時に吉田君が読売新聞の川村律文を伴って来宅。以前
「聖痕」の取材に来た時は風邪をひいていて心配させたと詫びたが、
こちらはそんなこともあったかとぼんやり憶えているだけ。今日は死
について本格的に話した。三時には川村君と入れ替わりに朝日新聞の
中村真理子がやってきた。この人とは以前「聖痕」連載中、大上朝美
他三人や伸輔と一緒に食事会をしたことがある。話は昔の戦争のこと
に及び、この話は初めてだと吉田君は喜んでいた。
 インタヴューすべてにわたって大澤真幸の解説に話が及ぶ。ハイデ
ガーを専門にしている哲学者なら顔をしかめる筈のギャグや言葉遊び
などを褒めて下さっているのはほんとに有難い。そもそもが講演を文
字に起したものなど、読めたものではなかったのだ。そこでほとんど
すべてを自分の文章に書き換えたのだったが、それがよかったのだ。
というより、そうするしかなかったのだが、これをハイデガーの嫌う
空談と受け止められたらどうしようもないなと思っていたが、大澤氏
に「専門家が一生かけても汲み尽くせぬ難解な書を驚くほどわかりや
すく、正確に抽出」と言ってもらえたので助かった。記者諸君も読み
易さに関しては太鼓判を押してくれたので嬉しい。
 朝日新聞に連載した「漂流~本から本へ」が講談社から「読書の極
意と掟」として出るのだが、今野敏がその多忙さにもかかわらず解説
を引き受けてくれたのでほっとする。感謝感謝。
ページ番号: 1109 1110

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