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偽文士日碌

六月十三日(水):1115-1116

「誰にもわかるハイデガー」がよく売れて再版になった。
 最近、法人限定出版というものができて、つい先日には「霊長類南
へ」が十二月までの半年限定出版として今井書店という書店でのみ発
売されるのに続き、「アフリカの爆弾」が九月にブックファースト、
「ホンキイ・トンク」が十月に明屋書店、「日本列島七曲り」が十一
月に明文堂プランナーからそれぞれ三千部復刊になる。おかしな出版
形態が流行しはじめたものだ。いずれも時期を過ぎれば全国販売にな
るらしい。
 また九月には「SFマガジン」に連載してきた「筒井康隆自作を語
る」が早川書房から出る。なんだかお祭り騒ぎである。
 筒井康隆展にあわせて文春文庫から「わたしのグランパ」が十月初
旬に新装版として増刷されるので、午後二時、その件で文藝春秋の文
庫を統括している今泉博史が久しぶりに来宅。行立ての変更や表紙デ
ザインなどに関して報告を受ける。表紙は誰がいいかと訊くので、い
とうのいぢを推薦しておいた。今泉氏によればわが「ハイデガー」が
某大書店では単行本のベストセラー七位に入っているそうだ。
「群像」から「蒙霧升降」の入稿を急かされているので、仕上げを急
ぐ。蓮實重彦との対談のゲラが送られてくるので、「蒙霧升降」と同
じことを喋っている部分の辻褄合せをしなくてはならない。「読書の
極意と掟」のゲラも来るらしく、これも急いでいる。困った。
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