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偽文士日碌

十月五日(金):1141-1142

 伸輔がやってきて、家族三人でタクシーで世田谷文学館へ。即ち今
日は筒井康隆展の内覧会なのである。三時前に到着した。菅野館長は
今日はお休みとやらで、豪華な館長室がわれわれの逃げ場となる。客
が来ないうちにと展示を見てまわるが、丹念に見ているとたちまち時
間が過ぎていく。丁寧な展示装飾であり、金がかかっていることがわ
かる。四時半になり、NHKテレビ他八社ほどの取材を受ける。主に
質問したのは読売新聞の鵜飼哲夫。
 五時になり、客入れが始まったのでわれわれは館長室へ逃げる。今
日できたばかりといういとうのいぢの表紙、石原さとみ推薦文の「わ
たしのグランパ」新装版を文春の今泉博史が持ってきたので、これに
署名落款をする。六時には一階のホールでレセプションがあり、館長
の挨拶の代読や世田谷区長や区議会議長の挨拶があり、おれも挨拶さ
せられる。「こんなおかしな作家は歴史的にも他にもちょっといるま
い」と言った上で、「こんなけったいな作家がどうして生まれ、どう
やってここまで成り上がったかをこの展示でご覧になるのも一興であ
りましょう」と言っておく。そのあと招待客が次つぎと挨拶にやって
きて、古い名簿からの招待だったため、昔の知合いが多くやってきて
最近の知合いがこないと言う変なことになってしまったが、それでも
三百人ほどと挨拶を交わし、ふらふらになる。このあと編集者四人に
拉致されて渋谷のブラスリーで夜食。帰宅十一時。
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