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偽文士日碌


 先夜の編集者たちとの夕食では、酔っていて忘れてしまっていたが
「なんで新潮45を休刊にしたか」と言って新潮社の二人を詰ったら
しい。「あれは完売だろうが。おれを編集長にしていれば、侃侃諤諤
の議論で次号もその次の号もすべて完売にしたのに」などと息巻いた
ようだ。
 筒井康隆展に行ってきた人によると、筒井康隆書店で、どう紛れ込
んだのかおれの蔵書印のないものも販売されているらしい。言ってお
くが蔵書印のない本はおれの本ではない。さらに世田文によるとサイ
ン本がほぼ完売とのことで、後続のサイン本を至急発送せねばならな
い。初日、つまり昨日は義妹の岡本喜美子が来たと言う。
 今日は朝の七時に起こされたが、歳をとってくると早起きはさほど
苦痛ではない。夫婦で八時に呼んでいたタクシーにて出発。コンラッ
ド東京へ。松野賀宣の結婚式なのである。早く出発したのは光子が着
付室で和服に着替えるからだ。おかげで一時間ほとんど誰もいないロ
ビーでぼんやり待つこととなった。このホテルは昔何度か泊ったが、
ガラスの間仕切りにガラスのドアという作りなので指を挟んだり、行
先階によってエレベーターの場所が違ったり、その他浴槽の勝手など
すべて若い人向きなので来なくなってしまった。
 松野家の控室で親戚の誰かれと会い、賀宣君や新婦の裕季子さんや
ご親族と挨拶を交し、いよいよ結婚式。例によってちゃんと話せるく
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