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偽文士日碌

十一月三日(土):1153-1154

 四時、光子同乗で世田文へ。混んでるということだったので早めに
出たのだが、ずいぶん早く着いてしまった、わが控室に充てられた館
長室でのオークションの打合せに時間がかかり、菊地成孔が来るのも
遅れたのでちょうどよかったのかもしれない。岡本家の喜美子、篤、
敬子がやってきて光子と共に会場へ。菊地君と簡単な打合せののち、
六時、会場へ。知った顔がいっぱいだ。
 菊地君との対談は彼がいつものディスクジョッキーのつもりで喋っ
てくれたのでずいぶん助かった。兄である菊地秀行のことを「奴は」
と言ったりするので驚く。おれも弟たちにはそう言われているのか。
 次いで朗読に移る。最初は換気の音でよく聞き取れなかったらしい
が、空調が止められてからは静かになり、よく聞こえたという。滑舌
が悪くなっていることを心配していたのだが、やはり五、六回噛んだ
ようで、プロとしては落第である。最後は下り調子になってきたので
立ち上がり、歩き回りながら読んでなんとか乗り切る。
 次のオークションは、一度に大勢がいっせいに番号札を掲げ、掲げ
ると同時に買い値を叫ぶので、誰が何を言っているのかわからず、結
局は前の方にいる人と声のでかい人に多く落札する結果となった。こ
れは反省点であり、次回はなんとか修正しなければなるまいね。
 終演後は中垣理子に案内されて菊地君と共に近くの37.2℃(ナ
ナドニブ)という変な店で食事。帰宅十時半。
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