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偽文士日碌

三月三十日(土):1193-1194

 新元号に関して侃侃諤諤だが、昭和天皇が崩御された時は、ちょう
どSF作家が集っていて、新元号はどうするかという話になった。明
治、大正、昭和と、すべて製菓会社の名前なので、次は森永がいいと
おれが言うと、チョコ好きの小松左京がモロゾフにしろと言い、星新
一がロッテオバQガム元年などと基地外みたいなことを言い出して、
全員腹をかかえたものだ。
 今夜は「『噂の真相』岡留安則を賑やかに送る会」の呼びかけ人な
ので、六時に家を出発、アルカディア市ヶ谷に向う。広い会場に千人
はいるであろうと思えるいっぱいの人、中には岡留を有罪にした裁判
官も来ていて、彼の人気を示している。会が始まるなり献杯を命じら
れ、マイクの前に立つ。
「岡留のいない世界がしばらく続いています。わたしは近くの紀ノ国
屋というコンビニへ食料品を買いに行くのですが、両手に紙袋をもっ
たままのわが家への帰り道、空を仰いで、ああ、これはもう岡留のい
ない世界なんだなあと思うことがしばしばです。何しろわが家で酒を
酌み交わした仲ですから。今夜は湿っぽくならないようにとのことで
したが、歳下の友人に死なれるほど悲しいことはありません。岡留の
後継者はまだ出てきていないようです。私にはとても無理ですが、誰
か出てくれば、私は支援すると思います。何はともあれ、どこかわけ
のわからないところへ行く岡留安則を賑やかに送ろうと思います。で
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