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偽文士日碌

六月十日(月):1209-1210

 田辺聖子逝去。取材の電話が次つぎに入ったものの、もう二十年以
上も逢っていないのだ。コメントのしようがなく、不公平なきよう各
社すべてにお断りを申し上げる。彼女を批評することばを何も思いつ
かないのだ。文学以外での彼女とのおつきあいなどで誤摩化してしま
いたくない。それにしても、ああ。お聖さん。
 徳間文庫から出る「バブリング創世記」のゲラが池田真依子から送
られてきたので、早速校正にとりかかる。ずいぶん昔の作品ばかりな
ので、他に解説できるような人もいるまいと想い、自分で書くことに
したのだ。また「裏小倉」は、原典を知らない人が増えてきたので、
一行目に原典と作者名を入れることにした。「上下左右」は文庫初収
録である。九月六日刊行予定。
 十年ぶりくらいに胃カメラを呑む。何の苦痛もなく呑めたので吃驚
した。だいたいいつ検査されたのか記憶がないのだ。胃壁の切片も取
ったと言う。麻酔剤に何か仕掛けてあったのだろうか。検査もずいぶ
ん楽になったものだ。結果は「胃炎ができているがすぐに治ります」
ということだ。麻酔のせいでしばらく喋りにくい。病院は三田病院。
以前、前頭五枚目の竜電を見かけた病院である。竜電、怪我も治って
よく頑張っている。来場所は前頭筆頭かな。
 なでしこはアルゼンチンと引分け。熊ちゃんもついに年長組か
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