トップへ戻る

偽文士日碌

七月五日(金):1215-1216

 例えばジャーナリストなどは取材という名目で、反社会的勢力とつ
きあうことができる。では作家は、取材と言って彼らとつきあっては
いかんのだろうか。 
 中央公論新社の法輪光生経由で、今子青佳という二十八歳の女性書
家が、「残像に口紅を」の全文を書いて展示したいと言ってきたので
吃驚。あの長篇を毛筆で全部書くなんて、本当にできるのか。
 またフランスで「夢の検閲官」が映画化される。映画祭などへの出
品を目的とした映画化である。以前、この映画の監督が来日した時は
おれにプレゼントする写真を大事にするあまり、自分の荷物を失くし
てしまったという逸話がある。これも新潮社の岑裕貴が世話してくれ
ている企画だが、やっと契約書にこぎつけた。
 この秋に講談社から刊行の単行本「掌篇歳時記 秋冬」に「蒙霧升
降」が収録される。
 また以前「BRUTUS」に載った「最も危険な作家、筒井康隆」
が、八月発売のムック「危険な読書」に再掲載される。
 月刊「神戸っ子」からは、一九七二年の九月号に掲載した田辺聖子
との対談があまりに面白いので、田辺さんへの追悼として再掲載した
いと言ってきた。
 この歳になって、自分は何もしていないのに、次から次といろんな
話が持ち込まれてくる。ありがたいことだ。
ページ番号: 1215 1216

「次のページへ」や、「前のページへ」をクリックすると、ページがめくれます。