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偽文士日碌

一月三十一日(日):1317-1318

 恐怖に顫えながら東京に来てみると連続で感染者数が三桁になって
いた。もっと下がれ下がれ。
 そんな時に政治家たちが銀座の料理屋やら高級クラブをはしご。自
分たちを上級国民と思っているのかという糾弾。まあ、そう思ってい
るだろうね。自分はどうかと問われれば、芸術家はみな、いかに貧乏
だろうと精神貴族だと思っている。しかしおれはそんなところに行き
たくはない。自分の命が大事だからな。政治家連中、なんで自分の命
を粗末にするのか。謝り続ける菅総理はだんだん声が小さくなって元
気が無くなってきた。政治家が国民から同情されるようになってはお
しまいだぞ。
「本質」の掲載は丹羽君から頼まれていた「文學界」に決定した。二
月校了の号に出る、ということは四月号か。
 下顎部の鋭い奥歯二本がさらに鋭くなってきて、槍の様に尖ってき
たので、舌の裏に刺さって痛い。吉晃君に削ってもらわねばならんの
で、せっかく上京したのに早早に帰らねばならない。
 登場人物が同じで背景がころころ変わるという松浦寿輝のアイディ
アを褒めたら、すでにおれが「われらの地図」という短篇でやってい
るとあべこべに指摘されてしまった。あーっ。おれ、すでにやってい
たんだ。自分では駄作だと思っていたので、すっかり忘れてしまって
いたらしい。久しぶりに読み返したらやっぱり駄作。
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