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偽文士日碌

二月二十八日(日):1323-1324

 新潮社から「波」三月号が送られてきた。掌篇「官邸前」と、松浦
寿輝との往復書簡と、さらに表紙にはわが揮毫と伸輔の絵が載ってい
る。何だか大サービスをしてくれている。ありがたいことである。
 並行して書いていた掌篇の「離婚熱」と「お時さん」ができたので
新潮社へ送ることにした。どちらもエンタメ系で、「新潮」からも新
作を頼まれているのだが、どちらをどちらへ送るべきか自分では判断
できないので、しかたなく両方を送って判断を委ねるのだ。 
「文學界」四月号の表紙画像を見て、蓮實重彦の労作「ジョン・フォ
ード論」が終章を迎えたことを知る。わが掌篇「本質」も同時掲載で
ある。蓮實氏とは往復書簡を始めたのだが、互いの担当者を仲介にし
たメールではおれのことを「大文豪」などと書いてくるので、こちら
も報復的に「偉大な知性」と書くことにした。元東大総長だ。「偉大
な知性」に違いあるまい。そう言えば松浦寿輝も東大を出ていて芸術
院会員である。これもまた「偉大な知性」だ。
 久しぶりでヤフーのリアルタイム・ツイッター検索を覗く。みんな
好意的に書いてくれているが、ひとりだけ、おれの最近の人気が気に
入らない老人だけが相変わらず同じような悪口を書いている。おれの
作品は読んでいず、文章力も無惨。
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