菅野昭正より「小説と映画の世紀」が送られてきた。大判でしかも
三百六十頁の大著である。マン、カフカに始まってグレアム・グリー
ンを挟み、エーコに終わる十二章を読了。菅野さんは東大で松浦寿輝
の師匠格であり、世田谷文学館の館長としておれの展覧会を開催して
くれた人。菅野氏にお礼のはがきを出す。「スウィフト以来の、ブラ
ックユーモアと言う文学の伝統が受け継がれているので心強くなりま
した。また今年は蓮實重彦氏の『ジョン・フォード論』も出ますし、
小生も『活劇映画と家族』という新書を出します。編集者は小説と映
画の年になればいいなと言っています」と記す。
たまたまなのだが、現在、蓮實重彦との往復書簡を執筆中である。
この人も元東大総長。何でこんなに東大と縁があるのか。
それにしてもスウィフトは凄い。「穏健なる提案」としながらも、
「貧民は赤ん坊を産んで、富裕層に美味な肉として売ればいい」など
と、神学博士と言う宗教者でありながら、慄然とするようなことを書
いたのだから大したものである。何が穏健なものか。おれも見習わな
ければな、と言ってもせいぜい「今のコロナ禍は戦争ができなくなっ
た人間に対する自然または地球の人口調節である」ぐらいのことしか
思いつかないのではあるが。
今日は紀ノ国屋へ食糧の買い出し。表参道、GW中よりも人出は少
なかった。
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