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偽文士日碌

五月十六日(日):1339-1340

 徳間書店から出ている「読楽」六月号に掌篇「夢工房」が載る。こ
の雑誌は書店で無料配布しているのだが、取次を通さず直送している
ため、地域によって頒布初日が五月下旬から六月上旬にかけてという
ばらつきがある。電子版もあるがこれは二百円で、六月十日から半年
間の販売。担当は以前出版芸術社にいた池田真依子だ。彼女に原稿を
渡したのは初めてである。
 蓮實重彦との往復書簡、第三信を「新潮」矢野優に発送。
 おれたちの上京のせいで母の日から少し遅らせたという、智子から
光子への、芍薬などの豪勢な花が届く。いい嫁だ。
 この前の日碌で「今のコロナ禍は戦争ができなくなった人間に対す
る自然または地球の人口調節である」と書いた途端にガザ地区で戦争
が始まっちまった。よく考えたら当り前のことだったのだが、「モナ
ドの領域」でGODがすでに「人間の死はすべて自然の人口調節であ
り、だからこそ美しい」という意味のことをちゃんと言っているでは
ないか。
「宵興行」という掌篇を書きはじめる。それとは別に、今のコロナ禍
を七月頃までの推移にして書き、「コロナ追分」という掌篇にしよう
と目論んでいるのだが、予定変更でIOC会長がいつ来日するかわか
らず、追分までの道が遠い。このままでは「バッハッハッハそら来た
よ、みんなのお顔もバッハッハ」とはならないのではないか。
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