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偽文士日碌

一月一日(木):123-124

 朝、屠蘇で祝う。雑煮は関西風の味噌雑煮である。そのあと、おれ
以外の全員は近くの隠田神社へ初詣でに出かける。
 賀状が来る。何年か前から、宣言して賀状は出さないことにしてい
るのだが、それでもずいぶんたくさんくる。賀状を出さなくなったの
は、ついに膨大な枚数に達してお手上げとなったからである。誰には
出して誰には出さないということは厭なので、いっそのことすべて出
さないことにしたのだ。そういう訳なので小生からの賀状は届きませ
ん。くださったかたにはこの場を借りて深くお詫び申し上げます。
 亡くなったかたが何人か。転宅されたかたが何人か。すべて「宛名
職人」という住所録に記録する。この住所録は以前ワープロの住所録
から中村正三郎が苦心してマックに移し変えてくれた実に便利なもの
であり、まことに正三郎さまさまである。
 夕食は、神戸から送らせた鯛の浜焼きとおせち。恒司は好物の蒲鉾
ばかり食べる。今夜は中村満のくれたヴィンテージもののシャンパン
で乾杯し、おれは伸輔が買ってきてくれた新潟の越淡麗という酒を、
例の竹の筒に入れて冷酒で飲む。しかしこの、日本酒というやつは旨
いから、どうも飲み過ぎていけない。どうやら酔って恒司を抱きかか
え、家の周りの庭を一巡したようだ。恒司がずいぶん重かったことだ
けは憶えている。
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