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偽文士日碌

十二月二十四日(金):427-428

 飲食店に禁煙、分煙を徹底させるとか言っているが、各店主へのア
ンケートの結果では客優先が五十パーセント、まったく考えていない
が二十パーセント弱である。心強いことだ。禁煙が徹底されている神
奈川県でも「店の奥で喫ってください」という店が多いらしい。これ
を報じる新聞は「逃げ道はなかなか断てないようだ」などと書いてい
て、喫煙者をまるきり鼠のようにこそこそしている小悪党扱い。喫煙
者はまだ犯罪者ではないのだから、こういう書き方は差別である。む
ろん差別して喜んでいるのであろうが。
 駐ロシア大使が更迭された。情報収集能力のなさを問題視した結果
である。しかし今さら何をしようと手おくれで北方四島には立派なビ
ルが林立してしまっているから、これを返還せよというのは無理であ
り、もはや諦めるしかあるまい。北方四島、とうとうロシアに取られ
てしまった。まったくもう、嫌煙権どころの騒ぎじゃあるまいに。
「漂流」に関する大江健三郎との対談には、丸谷才一も加わって鼎談
ということになった。御両所がわが書物をテーマに話してくださると
はまことにおそれ多いことであり、うぞ震いがする。しかしありがた
いことだ。
 その「漂流」の見本が出来。池谷真吾が持ってきてくれた。小ぶり
だが洒落た本である。オビには大江さんの推薦文もあり、なんだか売
れるような気がする。
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