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偽文士日碌

十二月二十七日(月):429-430

 煙草を買いに行く。「VOGUE」一カートンとシガリロひと箱で
五千円だ。ずいぶん高価になったものである。しかしわしは喫い続け
る。一本一万円になっても喫い続けなければならないのである。なぜ
なら、禁煙すると死ぬからだ。禁煙すればたちまちストレスから大量
に食べ、肥満する。そしてお決まりの心臓病である。わかっているの
である。
 六時に新潮社・矢野優が迎えに来る。今夜は最後の忘年会というこ
とになる。場所は溜池山王・六本木一丁目にあるアークヒルズの高層
ホテル、ANAインターコンチネンタルホテル東京の中の「雲海」と
いう日本料理店である。昨日あたりから都内の日本料理店はおせち料
理に対応するらしくほとんどが休業。そのせいかこの店は繁盛してい
て満杯のようだ。小部屋に入るとすでに石井昂重役と出版担当者の鈴
木力が来ている。光子も加えて五人、まずはシャンパンで乾杯。料理
は旨かった。焼甘鯛の入ったみぞれ仕立ての椀、白栗麩鶏のそぼろ包
み、焼き河豚、のど黒のしゃぶしゃぶ、最後は蟹の釜飯。森伊蔵があ
るというのでおれはシングル一杯、ダブル一杯を飲み、矢野君、鈴木
君にもすすめる。いろいろと話し、文壇の面白きことをいろいろと聞
く。帰途、また矢野君が送ってくれたので、わが家に誘い、ビールを
飲み、数の子、カラスミなどを食べながらまたいろいろと話す。
 就寝一時。
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