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偽文士日碌


 オリエンタル・ホテルに来ている。
「三字熟語の奇」二十五枚を書きあげたのが昨日。今回は夫婦だけで
のんびり過そうというので、大晦日からの三泊を予約したのである。
 六時からの夕食は寿司にした。ホテル内で和食はここだけなのだ。
初めて来る店だが、なかなか雰囲気がよく、板前の応対もよい。大晦
日だけのコースになっていて、最初に小鉢ものがいくつか出て、その
あとの握りはシャリを少なめにしてもらったのだが、それでも次つぎ
に出てくるものだから腹がいっぱいになって、最後の方の雲丹巻など
いくつかは食べられず。
 いったん部屋に戻ったものの、年越し蕎麦を予約しているので、や
はり行かねばならない。九時過ぎ、蕎麦をふるまっている宴会場に行
くと、案外空いていた。この蕎麦がなかなか旨くて、とても食べられ
ないと言っていた光子までが一杯を完食してしまう。具は自分で勝手
に入れて食べるのだが、われわれは油揚を一枚入れただけ。しかるに
客の中には海老天を三匹も入れている人がいた。晩飯は食べてきただ
ろうに、よく食えるもんだ。
 十時に、女性のマッサージ二人が来る。以前にも揉んでもらった人
たちだ。紅白を聞きながら九十分揉んでもらい、くたくたになってし
まう。冷蔵庫のハイボールやビールを、光子はシャンパンを飲み、就
寝一時。
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