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偽文士日碌

十二月二十日(木):617-618

 六時、角川の新名君が来て契約書類に署名捺印し、電子メディアへ
の対応などを相談する。そのあと国際タクシーを呼んで妻も一緒に赤
坂の菊乃井へ。無論、京都の老舗であり、東京のいくつかのビルから
開店を乞われたのだが「ビルは百年もたないから」とこれを蹴って赤
坂に広い敷地を買い、木造建築にしたという店だ。年末でもあり、カ
ウンター席しかなく、喫煙場所まで行かねば煙草が喫えないという状
況だったがこれはまあしかたあるまい。すでに郡司珠子が来ていた。
四人で乾杯。おれと郡司さんは焼酎、光子は日本酒のあと、ブルゴー
ニュのワイン。食事しながら郡司さんと打合せ。彼女はこの「偽文士
日碌」を本にしてくれるのである。別段急ぐ本でもないから、ゆっく
り楽しんで編集し、発行は来年なかばか。
 さすがに料理は旨い。特に列挙すれば鱈子落雁、菜種辛子和え、サ
ーモン椿寿司、芥子蓮根、汲み上げ湯葉このわた蒸し、焙りこのこ、
河豚の薄造りに皮の湯引き、寒鰤に辛味大根、甘鯛の蕪蒸しに生雲丹
を乗せた蓋もの、中猪口が洋梨と山葵のソルベ、焼き松葉蟹、ふかひ
れ鍋すっぽん入り、いくらご飯、金時人参のすり流しに揚げ栗麩、柚
子のソルベ、梅と紅茶のジュレといったところ。いくらご飯はとても
食べ切れず、テイクアウトとして戴く。焼酎を五杯も飲み、すっかり
へべれけとなる。郡司さんに送ってもらって帰宅十時過ぎ。
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