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偽文士日碌

十二月三十一日(月):619-620

 一時に伸輔一家がやってきて、荷造りをしておいたからすぐ、呼ん
でおいた国際タクシー二台で出発。ホテル・ニューオータニのガーデ
ン・タワーに着くと、お正月プラン宿泊予約の受付があり、金扇通行
手形なるものがそれぞれに渡される。年越し蕎麦券、朝食券、小判と
呼ばれている食事用のチケット、お休み処券、ビンゴゲーム券などが
ついている。伸輔たちとは別の、喫煙階のスイートルームに案内され
ると、スカイツリーが正面に見えた。広い部屋なのでわが一族全員が
団欒できる。恒至はあいかわらずテレビの有料番組で「ドラえもん」
だ。恒至と初めて腕相撲をしたり、くすぐったりしてふざける。
 五時、日本庭園を抜けていちばん奥にある清泉亭へ。魚が好きな恒
至は池の鯉に喜ぶ。清泉亭ではカウンターで鮑や和牛肉などを鉄板で
焼いてもらう。おれは古酒の焼酎をダブルのロックで三杯。そのあと
ゲームコーナーで楽しむ。家族連ればかりだが、おれは幼女たちの可
愛さに眼を奪われた。美しい女の子ばかりなのだ。
 十時半、夫婦ふたりだけでルームサービスの年越し蕎麦を食べ、テ
レビで除夜の鐘を聞き、就寝十二時半。
 これまでこの日碌ではある理由から孫のことを「恒司」と書いてき
たが、名を変えて書く必要がなくなったので、これからは本来の「恒
至」と書くことにする。
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