トップへ戻る

偽文士日碌

一月一日(火):621-622

 朝八時、伸輔一家と共にわがスイートルームで正月を祝う。ルーム
サービスのおせち料理が来て、まず屠蘇で祝い、雑煮を食べる。窓か
らは富士山が見え、まことによき正月である。おれ以外の四人はその
あと十時発の新春バスツアーに出かける。東京スカイツリー、浅草寺
初詣、隅田川下りという周遊だ。おれは部屋でさらにひと眠りする。
昼過ぎに目醒め、部屋を掃除してもらう間、お休み処になっていたバ
ー・カプリへ行って珈琲とヨーグルトのシャーベットという昼食。珈
琲は何杯でもお代りでき、煙草も喫える。葉巻が置いてあったので、
ここは葉巻も喫えるのかと訊くと勿論だというので、明日また来るこ
とにする。前田日明に貰った葉巻をまだ喫っていないのである。
 夜は皆でトレーダーヴィックスへ。子供連れ、家族連れが多くて賑
やかである。大人四人はそれぞれ好みのカクテルを注文する。カクテ
ルには小鳥の剥製や人形などのついたマドラーが差し込んであり、恒
至はこれをすべて欲しがり、貰って帰ることとなる。おれはラム酒ベ
ースのカクテル三杯。肉を焙ったり春巻きを焙ったり、子供が喜ぶよ
うなものが多い。あとは海老フライ、烏賊フライ、各種薬味がずらり
とついた各種カレーなど。食事のあとはまたスイートで一族団欒。窓
からは上三分の一が欠けた月の顔がニコちゃんマークに見え、ニコニ
コ笑って見られているようで、面白くもあり、無気味でもある。就寝
十二時。
ページ番号: 621 622

「次のページへ」や、「前のページへ」をクリックすると、ページがめくれます。