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偽文士日碌

三月一日(金):633-634

 毎日のように来客。一昨日は新潮文庫の石戸谷渉が電子書籍の伊藤
周をつれてきて、電子出版の環境が整ったからというのでわが文庫本
を電子書籍化する相談であった。とりあえず絶版になっていて読者か
らの要望が多い戯曲集四冊や、「聖痕」の完結を機に以前朝日新聞で
連載した「朝のガスパール」などを提供することになる。 
 昨日はこの日碌で世話になっている朝日ネットの山本社長と担当の
森田君と梅村氏が挨拶にやってきた。産休の市川さんは無事、女児を
出産とのことであり、市川さんの苗字は今後、池田さんとなる。
 今夜は新潮社の矢野優、楠瀬啓之が出版部長の中瀬ゆかりと共にや
ってきた。中瀬さんとは初対面だが、光子は週刊誌の記事などでよく
知っていた。早いめに来ていた伸輔を加え、六人でフィオーレへ。喫
煙可能な奥の部屋に通される。おれはいつものウィスキーで、他の全
員はワイン。例によって盛り沢山の前菜。山独活と蕗の薹の苦味のあ
るスープ。京芹、うるい、タンポポ、からし菜をホタル烏賊のソース
でバーニャカウダー風に。林檎の木のチップで燻した鴨の薄切りをア
カシアの蜂蜜と竹炭の塩で。タラバガニのサラダ。菜の花と春トマト
のスパゲティーニ。メインはおれが美明豚、光子が富士鶏、あとの四
人が馬肉のフィレ。そのあと全員、借りた傘で雨の中をわが家まで歩
く。ウィスキー、ワイン、からすみ、キャビアなどでもてなす。話が
弾んで午前一時を過ぎ、皆さんお帰り。雨はやんでいた。
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