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偽文士日碌

十月二十五日(金):701-702

 二時、対談相手の今野敏が来宅。掲載される「サンデー毎日」の編
集部・山田厚俊、出版局の永上敬、広告部キャップの長谷川知幸、カ
メラマン、それになぜかJT(日本たばこ産業)の田原光晃までやっ
てきた。「サンデー毎日」編集長も来る筈だったらしいが、別の用が
できたとか。もし来ていれば七名にもなった。今野君が来るというの
で彼の最新作「アクティヴメジャーズ」を読んでおいたのだが、こう
いうレベルの作品を量産しているとしたら大したものであり、こうし
たシリーズものを書きながら新聞連載もこなしていたのは驚嘆に価す
ると褒め上げておき、この次は是非、実験的な文学作品を書くように
とけしかける。これはおれの、才能のあるエンターテインメントの作
家に対するいつもの手口だ。今野君は昔、山下洋輔トリオを題材にし
た作品をおれが新人賞に推薦した因縁がある。あれから三十数年、ず
いぶん巧くなったものだ。JTがいるので、話題はどうしても喫煙文
化のことになる。今日の来客は全員が煙草を喫うので尚さらだ。話が
弾み対談は二時間にも及んだ。光子が編集長へのおみやげも含め隣で
買ってきた日本手拭いを全員に渡す。今野敏は気に入った柄を求めて
全部拡げて見たりする。それにしても、この歳になってなんでおれは
最近こんなに人気があるのだろう。これは「サンデー毎日」の十一月
二十四日号(十二日発売)か十二月一日号(十九日発売)に載る。今
野敏はライターと煙草をお忘れ。いつでも取りにお立ち寄り下さい。
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