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偽文士日碌

一月七日(火):725-726

 有楽町の火事で新幹線が遅れに遅れ、大混雑を招いてから三日めの
昨日、まだ混雑しているのではないかと怖れていたのだが、さすがに
連休明けのことでもあり、空いていた。ほぼ一ケ月ぶりの原宿のわが
家であるが、別状なし。郵便物が山ほど。整理して就寝十二時。
 今日は午後三時、「婦人公論」の角谷涼子、塚原沙耶、ライターの
篠藤ゆり、カメラウーマンの野村佐紀子が来る。ひやー全部女だなど
と思いながら迎え入れたものの、寒くならないうちにというのでまず
家の前の路上で写真撮影。佐紀子さんはちょこまかとよく動く人であ
り、女性だから和服の襟元を直したり、手で髪をなでつけてくれたり
する。男性カメラマンがほとんどこういうことをしないのは、おカマ
っぽく見られるからだろうか。
 室内でインタヴュー。「大往生」についてである。山田風太郎「人
間臨終図巻」に書いた解説を読んでのご来訪らしい。むろんおれが今
年の九月で八十歳つまり傘寿になるからということもあるだろう。死
にかたのことやハイデガーのことや苦痛のことや自殺の方法や長生き
の方法や何やかやを話すが、年齢が離れているせいかどうも反応がよ
くない。ギャグのみは大いに笑ってくれるのであるが。このインタヴ
ューは「婦人公論」誌二月七日発売の二月二十二日号に掲載される。
広間ではずいぶんたくさん写真を撮られたが、はてさて、どんな形で
載るのだろうな。
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