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偽文士日碌

十二月十一日(金):923-924

 一昨日はビーバップで「モナドの領域」の宣伝をさせてもらい、昨
日上京、そして今日は署名落款本の手渡し会。六時に楠瀬啓之が迎え
にきてくれて新宿の紀伊國屋へ。控室へ行くとTBS「王様のブラン
チ」のクルーが待ち構えていて、さっそく女子アナからインタヴュー
を受ける。作品の内容には触れず、最後の長篇というのは本当かとい
う質問ばかりされて参る。
 八階の手渡し会の会場へ行き、書店員さん用の二十冊に署名落款。
途中から待っていた連中が次つぎに入ってくる。中瀬ゆかりがマイク
で短く喋ったあと、アイドルでは普通だが、作家としては珍しいとい
う手渡し会が始まる。ほとんど「ありがとう」だけですむので楽だ。
顔見知りの会議室の連中とのみ短くことばを交す。後半、女性のひと
りが「お祈りをさせて下さい」と言って二、三歩下がり、何ごとか祈
り始めたので、暗示にかかってお狐様にでも憑依されたら大変だから
こっちも必死に祈り返す。その効き目があったのか、女性はほとんど
痙攣のように震えながら帰って行った。
 百二十人限定の手渡し会が終了。森田真基がツイッター用の写真を
撮ったあと、中瀬さんが連れてきた十歳の天才少年でわがファンだと
いう日向開紀君に紹介される。おれは豆本を渡し、日向君はペン立て
をくれた。その後控室に戻って新潮社の人たちと話す。新潮社からは
文芸編集部の編集長高澤恒夫も来ていた。岑君に送られて帰宅九時。
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