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偽文士日碌

二月二十八日(金):1253-1254

 現在、喪の作業の第二段階にいる。
 息子の筒井伸輔が死んだ。享年五十三歳、満年齢だと誕生日が来て
五十二歳になる。死因は食道癌。
 昨年の四月、智子さんから電話があり、光子が出た。伸輔、以前か
らものが食べにくく、自分で勝手に逆流性食道炎などと決めて医者に
も行かなかったのだが、とうとうものが食べられなくなり、近所の医
者に行ったら食道癌が発見された。大きくなっていて、今までよくも
のが食べられましたねと医者が驚いていたらしい。すぐに病院へと言
われて、ある人に紹介されたがん研有明病院に行き、検査を受けたの
だが、あれから一年足らず、こんなに早く死ぬとは思わなかった。本
人もそう思っていたらしく、映画のビデオを沢山買い込んでいた。
 院長や外科部長とも会い、抗癌剤、放射線治療、さまざまな治療を
してもらったのだが、何しろ発見時にはステージ4の段階で、癌は食
道だけでなく気管支や淋巴節にまで浸潤していたものだから手術がで
きない。癌は大きくなったり小さくなったりの一進一退。いずれ治癒
すると信じているわれわれ家族は兄弟姉妹にさえ言わず、言えば大騒
ぎになると思うものだからひたすら心配を家族だけで抱え込んでいた
のだ。黙っていた方がたにはひたすらお詫びするしかない。
 二十三日の夜、突然喀血して苦しみ出し、「救急車を呼んで」と言
うので智子さんが同乗し、近くの湘南鎌倉総合病院に運び込んだ。手
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