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偽文士日碌

二月二十八日(金):1257-1258

だ。智子の涙の挨拶に胸を掻き毟られる。正午前に出棺。住職、智子
の親族と献杯。
 葬儀は終った。三瀦さんがブログに書いていたため、帰宅すると小
生関係の人からメールが沢山あり、電話があった。通知しなかったこ
とを再度お詫びするしかない。伸輔が死ぬ前から個展を開くことは決
定していて、画集を出すことも決まっていて、何度か打合せもしてい
たようだ。個展に履いていく靴を二足も用意していたという。三瀦さ
んが洩らしていたところでは「お別れの会」という話もあるようなの
だが、こればかりは遺族のわれわれが出る幕ではあるまい。個展・画
集についてはミズマのホームページをご参照願いたい。供花・香典に
ついても、小生があれこれ言う立場にはないが、お花は原宿のわが家
にだけはご勘弁願いたい。三津寺の住職が夜を撤して考えてくれた伸
輔の戒名は「蓮心院純興伸空居士」。「蓮」は筒井家代々に伝わる「浄
土」を意味する語で、「心」は仏の心、院はわが父嘉隆、母八重から
受け継ぐ院号である。「純」はまるで天使のような息子だった伸輔の
純真無垢を示し「興」は蜜蝋画と言う独自の画風の中で遊んだことを
示す。「伸空」は空に伸びることで、真言の開祖「空海」から一字い
ただいている。
 尚、来月六日に予定されていた代官山蔦屋でのイベント、松浦寿輝
との対談は、このご時勢だから中止となった。おれがコロナで死んだ
ら後に残るは女二人子供一人。長生きしなくちゃなあ。
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