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偽文士日碌

十二月六日(日):1309-1310

「川のほとり」と、それに対する編集者たちのことばをメールで智子
に送ったところ、数時間泣き続けてしまい、帰ってきた恒至が驚いた
そうだ。悪いことをした。自分が泣けない性格だから、いささか羨ま
しくもあった。
 新潮社の出版部長中瀬ゆかりから、二月に出る短篇集「ジャックポ
ット」の巻末に「川のほとり」を収録させてほしいという要請があっ
た。承諾する。
「羆」という掌篇を書き終えて、タイトルを「臆病者」にしようかど
うしようかと思い悩んだ末、やはり「羆」をヒグマではなくただのク
マと読ませて「羆」にすることとした。
 現代新書の第三章「ジョン・ヒューストンに始まるボギーの一族」
を「マルタの鷹」「カサブランカ」「脱出」「三つ数えろ」と書き継
いで「黄金」にたどり着いた。あと、「キー・ラーゴ」「アフリカの
女王」「悪魔をやっつけろ」あたりをやっつけなければならない。第
三章だけやたらに長くなるが、ふたつに分けたものかどうか。
「楽屋控」という掌篇を書きはじめる。「官邸前」と「羆」は「波」
に送ることにする。
 竜宮の使いが帰ってきた。地球の反対側にある針の穴に糸を通すほ
どの計算が必要なのだそうだが、まったくもう、人間わざではない。
賀宣にもできるのか。
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