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偽文士日碌

七月十日(土):1347-1348

「すばる」でマリオ・バルガス=リョサがボルヘスにインタヴューし
ている。約六十年前のものと四十年前のものだ。ボルヘスは誠実に答
えているのだが、リョサは答えにあまり反応せず別のことを次つぎと
訊く。そんなところも面白かった。意外だったのは、ホルへはサッカ
レーが駄目で、特に「虚栄の市」は読めなかったらしい。それでもイ
ンタヴューはふたつとも刺激的だった。もうひとつ、「すばる」のこ
の号では野崎歓が菅野昭正「小説と映画の世紀」を丹念に批評してく
れていることで、これは有難かった。というのも贈本の礼状をあたふ
たと書いてしまったことを後悔しているからだが、この批評はまさに
わが意を得たりの感があった。
「週刊朝日」からインタヴューの依頼。このご時世だからメールのや
りとりになる。驚いたのはこの記者氏のお名前がなんと鮎川哲也。父
君がミステリ・ファンでもあったのかと思い、訊ねてみたところ偶然
だそうな。ついでに親戚には「大江健三郎」もいるとのことだ。
「文學界」の九月号に「武装市民」が掲載される。久しぶりのハード
ボイルドである。また「新潮」九月号には「離婚熱」と同時に蓮實重
彦との往復書簡の前半が載る。話題は「女中という風俗」「アプレゲ
ールとは」「ブラックユーモアについて」等である。読むように。
「通販生活」から朝顔の鉢植えが届く。去年貰った朝顔が今満開なの
だが。
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