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偽文士日碌

八月二十五日(月):49-50

内に落ちついてすぐ、予定されている先発の列車よりもだいぶ早く、
八時前に発車した。行く先が博多なのでそれより行き先の近い列車よ
りも早く出発させたのであろう。さっそく弁当を食べる。光子は昼間
智子さんと一緒にシスレーの昼食会に行って満腹しているのであまり
食べず、弁当ふたつ、おれがほとんど食べる。
 小田原まで来ると列車が止った。またしても豪雨となり、上りは運
行を見合わせているというアナウンスで、これは下りも止るのではな
いかとはらはらさせられる。さいわい列車は熱海、三島と、何度も止
りながら進行したが、その後のアナウンスで、ついに下りの後続列車
も運転見合わせになったと聞き、不運中の幸運であったと喜びあう。
しかし豪雨の中、熱海の上空に花火があがっていたのはなぜだったの
だろう。結局新神戸着は十一時五分、わが家に帰着は十二時だった。
 あのあと新幹線は最大六時間の遅れとなり、四千五百人が車内で寝
たと言う。危ないところでそんな目に遭わずにすんだのだ。今日もま
た雨で、上下十九本が運休したらしい。
 伸輔が心配して電話してきた。逗子までは雨も降らず、ふつうに帰
れたらしい。それにしてもこの天候不順は異常である。これから新幹
線に乗る時には覚悟が必要だ。覚悟したところでどうしようもないの
だが。
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