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偽文士日碌

三月十六日(日):749-750

 森博嗣「実験的経験 Experimental experience」の
解説を脱稿して講談社文庫出版局の佐々木啓予に送ったところ、森氏
が「さすがにすばらしい」と喜んでいたとのことでほっとする。こう
いうものを評価するのはほんとに難しい。文庫は五月ごろに出る予定
だとか。締切より早く送ったが、次の仕事がつっかえているのだ。
「創作の極意と掟」がアマゾンで品切れになったらしい。初版と同じ
部数で重版になるということは聞いていたのだが、本ができるまであ
と何日かかかるらしい。「ビアンカ」の時と同じようなことにはなら
ないでほしいものだ。今朝は読売新聞に尾崎真理子の書評が載り、順
位が少し上がったようである。
「新潮」から頼まれている創刊百十周年記念号用の短篇にいよいよと
りかかる。四月下旬校了、五月七日発売だというから、うかうかして
いられない。昔と違って執筆速度が遅くなってきているのだ。「ペニ
スに命中」などというものを書いてしまったので、尚さら次の作品に
悩んでしまう。タイトルは「奔馬菌」と決定。下調べを開始し、同時
に最初の部分を二枚書く。
 文春文庫編集部の田中貴久からは武藤旬経由で芥川龍之介「侏儒の
言葉」の解説を頼まれている。送られてきた岩波文庫を読むが、これ
また難物だ。文春からはその前に短篇集も出る。まことに慌ただしい
ことである。
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