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偽文士日碌

九月十九日(金):795-796

として出していただいたり、そんなことが何度かあって、今度はまた
絶版になっている長篇を二篇ずつ一冊にして全七巻、次つぎに毎月出
していただくことになりました。実にありがたいことだと思っており
ます。原田さんは九十歳になられます。わたしよりだいぶ歳上です。
わたしの方はSFの第一世代が次つぎと死んで、わたしはまだ生き残
っておりますが、原田さんにあやかってもう少し、SF界最長老の気
分を味わっていたいと思います」そして乾杯。
 権田萬治、大村彦次郎、塩沢実信、小島香に逢い、立ち話。権田さ
んがぼくより二歳も若いと知り、驚く。駆け出しの頃から今まで、年
長の怖い評論家だとずっと思っていたのだ。小島君は講談社でぼくの
担当だった時「イリヤ・ムウロメツ」を書かせてくれた人であり、苦
労して手塚治虫の絵を貰ってきてくれたりもしたので、「文學界」に
「ウクライナ幻想」を書いたことを教えておく。とても懐かしがって
くれた。今日の来賓には白髪の人がずいぶん目立った。若い人では日
下三蔵、池田真依子にも逢う。このパーティ会場では煙草が喫えない
ので、一時間ばかりで失礼した。四ツ谷駅の前でタクシーが拾えずに
しばらくうろうろして帰宅は八時。パーティではビール一杯、水割り
一杯を飲んだだけだったので、久しぶりに家で焼酎を飲みながらステ
ーキなどで夕食。スコットランド独立をめぐる投票のニュースを見て
否決されたことにほっと安堵する。浮動票六%が反対にまわったか。
急激な円安は大丈夫か。電機や自動車は大喜びだろうが。
 メールの返事を打込んだりして就寝十二時。
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