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偽文士日碌

八月十七日(土):687-688

 昨日から伸輔一家が来ている。光子が昼間、いっぱい紀ノ国屋で買
物をしてきたのだが、そのほとんどを食べ尽したようだ。恒至はよく
食べるようになり、焼肉を何枚も、今日は帰る前に焼売を八個も食べ
た。昨夜はテレビを恒至が独占。今回は心霊ものを見せられた。怖が
りの癖に見たがるのである。だから眠れなかったらしく、何度も起き
てきてはもっと見たいと言う。背丈が伸び、我が儘は少なくなったも
のの、字をあわてて書くため、学校では計算間違いをする。わかって
いる癖に数字をきちんと書かないので間違うのである。先生が残念が
っているそうだ。一家は午後四時に帰っていった。
「創作の極意と掟」最終回のゲラ直しをする。最終回の十月号は「妄
想」と「諧謔」の二項目のみ。来年本にするが、その時は「新潮」に
載せた「反復」と「幸福」を巻末に収録する予定である。
 もう十日以上も、「ペニスに命中」という変な小説を書き続けてい
る。滅茶苦茶な話である。我ながら呆れてしまうが、こんな小説、載
せてくれる雑誌があるのだろうか。それにしても、書きながら笑って
しまうなどということは久しぶりだ。
 夜、食べるものがなくなってしまい、焼酎の肴は納豆と、レタスを
大量に入れた豚鍋。おかげで夜になって腹が減ってきて眠れない。起
き出して瓜の漬物で茶漬けを食べる。まだ眠れず、焼酎を飲み、まだ
眠れず、いかんと知りながら睡眠導入錠を服用。
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