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偽文士日碌

六月二十六日(金):189-190

新さんが食べる。冷たいとろろのスープが絶品。焼肉がまた絶品。ほ
んとは刺身で食べたミノだのタンだのも焼いてほしかったのだが、残
念ながらもう入らないし、タンは早くも品切れだ。満腹し、ほんとは
愛想がよかった女将に見送られて店をあとにする。
 タクシーでホテルへ戻り、そもそもここを教えてくれた喜美子さん
と新さんを部屋に案内する。このホテルは各階のエレベーター・ホー
ルから客室までの廊下へ行く間のドアがロックされていて、カードが
ないと開かない。その他いろんなサービスがあってなかなか面白い。
 新さんたちが帰ったので、夫婦で一階の「ザ・ライブラリー」とい
う英国書斎風のバーへ行く。光子は赤ワインをグラスで、おれはバー
テンの腕を見るためにモスコ・ミュールを頼む。光子はそのおれのカ
クテルに口をつけ、旨いので驚き、ワインと替えてくれなどと言うが
残念ながらおれはワインを飲めない体質なのである。
 部屋に戻り、光子を最上階のベントハウス・スパ「トリニテ」へ視
察にやったあと、テレビで「たそがれ清兵衛」を再見する。光子はス
パのエステシャンから肌や体形を褒められ、ご機嫌で帰ってきて報告
する。今日はホテル内も店も、どこへ行っても煙草が喫えたので、お
れもご機嫌だ。
 就寝十二時。
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