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偽文士日碌

六月二十七日(土):193-194

 さらに百七十八号線を走って丹後半島をぐるりと巡り、四時半、夕
日ケ浦温泉の海花亭・紫峰閣に来る。この旅館を選んだのは、客室の
数室に露天風呂がついているからだ。さっそく入浴し、食事前にまた
ひと風呂。六時、おれたち夫婦の部屋に全員の夕食が運ばれ、さっそ
く食べはじめる。おれは芋焼酎、光子は白ワイン、新さんたちはビー
ル。献立を見て、とても食べきれないと思っていたのだが、旨いもの
だからいくらでも食べる。湯葉の膾のあと、お目当ての活きヤリイカ
が出る。そもそも今回は丹後半島のイカを食べようという目的があっ
たのだ。調理する直前まで活かしておいた刺身は、こりこり感と旨み
が絶品で、しかもレモンをかけると足がまだヒクヒク動いている。ふ
たりで一匹、四人で二匹、刺身を全部食べてもまだ心臓部が鼓動して
いるのには驚いた。このあと、いったん下げられた足の部分が塩焼き
になって出てきたが、これも旨かった。
 タマネギのスープのあとは鮑の唐揚げ、サザエの磯焼きと続き、黒
毛和牛と鮑のステーキが出て穴子とトマトのもずく酢、揚げ麩の豆乳
鍋、そして活鮑の山かけ飯が最後となる。いくら旨かったからとは言
え、これを全部食べたのだから驚く。
 食後しばらくの歓談。新さんと話していると和やかな気分になり、
新さんもそうだという話だ。八時半にマッサージ師が来て、おれだけ
マッサージにかかる。ついうとうとする。新さんたちが隣室に戻り、
そのあと、いつ寝たのやら思い出せない。
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