トップへ戻る

偽文士日碌

十二月三日(金):415-416

各国から作家を招いたのに予算がないから寄附してくれ寄附してくれ
と何度も手紙がくるので、世界中から客を呼んでおいて何をやってる
んだと思い、えいとばかりに百万円寄附したら、それが今回戻ってき
た(笑)。やはりお金というのは、出さないと入ってこないんですね
(笑)。今回いちばん嬉しかったのはやはり、はやぶさのプロジェク
ト・チームと同時受賞したことです(拍手)。われわれの世代にとっ
て「はやぶさ」と言えばやはり加藤隼戦闘隊ですが(笑)、そのはや
ぶさのことについて先日JAXAの的川名誉教授と「yomyom」
という雑誌で対談をしました。その時先生に「まったく訓練を受けて
いない老人が宇宙船に乗れるのはいつごろになるだろう」と伺いまし
たら、「それはやはり三十年くらいかかるだろう」と。すると私は百
六歳なんですよ(笑)。でももしその時までに死んでいず惚けてもい
ず、行方不明にもなっていなければ(笑)、ぜひ乗りたいという希望
を申しあげた。実は私の甥っ子がその的川先生の後輩になるんですが
東大の航空宇宙工学の大学院で、今日の受賞者でもある川口淳一郎さ
んの講義を受けたりもしているのですが、これが宇宙飛行士の野口さ
んに憧れておりまして、いずれはJAXAに入り、NASAへ行き、
そして宇宙飛行士になりたいと希望しております。もしそれが実現し
た時には私を、訓練を受けていない老人がどこまで宇宙に堪えられる
かという実験動物の一匹としてでいいから(笑)、一緒に乗せてほし
いと頼んでいるんですが、今回のこの受賞は、ほんとに宇宙へ行った
最初のSF作家と言われる夢に、いささか近づいたような気がいたし
ページ番号: 415 416

「次のページへ」や、「前のページへ」をクリックすると、ページがめくれます。