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偽文士日碌

十月十四日(金):503-504

達し洗練された伝統は、ともすればこれを壊そうとする人たちによっ
てあっけなく崩れ去る運命を孕んでいます。その中にあって、私たち
はこの洗練された伝統を守り、受け継いでいく使命を、次世代のため
にも、人間の歴史のためにも、自覚しなければならないと考えており
ます。ありがとうございました」 
 同じテーブルには会長夫妻や関さんや大宅映子がいて、以前おれの
谷崎賞受賞のパーティの時に知りあった大宅さんと光子は隣り同士の
席。あの気むづかしい大宅女史にどこが気に入られたのか、光子はず
っと彼女と話し込んでいた。ニューオータニの料理長が挨拶に出て来
て、さすがに料理は旨い。この「パラッツオ」はオープンエアーにな
っていて、テラスでは葉巻を喫い放題。三か所の出品スペースにはキ
ューバ産、ドミニカ産、メキシコ産の超高級プレミアム・シガーが並
べられていて、どれでも好きなものがチョイスできる。一度磨けば一
年保つという靴磨きまであり、光子に勧められておれはベルルッティ
の靴を磨いてもらった。席には風船芸術家が来て、光子は豪華な花と
ピンクパンサーを作ってもらう。やがて抽選会となり、光子はまたし
ても葉巻を当ててしまう。おれにはグッチのネクタイが当り、イタリ
ア人の日本支社長から授与される。各界名士の多くに紹介されたもの
の誰が誰やらもはやわからぬ。青羽さんの、最近喫煙者への風向きが
よい方向に変化してきたという最後の挨拶が心に残った。
 帰途、またしても関さんに送ってもらい、帰宅十時半。だいぶ飲ん
だのだが、皮膚炎は出なかった。
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