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偽文士日碌

十月二十一日(金):505-506

「ビアンカ・オーバースタディ」の続きを書きはじめている。書いて
いるうちに忘れていた内容やクライマックスのアイディアなど、次つ
ぎと思い出してくるから不思議である。新たなアイディアも思いつい
た。連載が長期化したからこそのアイディアである。
「通販生活」からは、「昭和ヒトケタからの詫び状」というタイトル
で、野坂昭如と往復書簡を交してくれと言ってきた。おれの書いた手
紙に野坂氏が返事をくれるという形式にするらしい。来年一月初旬発
売の秋冬号に載せるのだという。野坂氏とはずいぶんご無沙汰だ。承
諾する。
 三時半、角川の新名君が車で迎えに来てくれる。今日は東京会館で
山田風太郎賞の選考会なのである。今回は長大な作品が多く、読むの
に苦労したのでまずその不満を角川の各氏に漏らす。委員が揃ったと
ころで、先日のジャパン・シガー・アワードで貰った賞品の葉巻一箱
を出し、お裾分けと称して一本ずつ皆さんに贈呈する。とにかく沢山
貰っているので、誰かに貰って戴かないとおれがニコ中になってしま
うのである。
 選考は丹念に行われて、高野和明「ジェノサイド」に決定。満票に
近い得票だったから、最初から決定していたようなものなのだが、そ
れでも最低得票の作品も含め五人全員が丁寧に論考する。そのあと重
松清が志願して記者会見に臨む。贈賞式のスピーチはこれも志願した
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