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偽文士日碌

十月二十一日(金):507-508

桐野夏生に決定。
 選考終了後、角川歴彦が挨拶にあらわれる。受賞作や候補作の中で
映画化できるものがあるかどうかについて、ちょっとばかり話が盛り
上がる。
 夕食に移るが、記者会見に出ている重松清を除き、全員がなぜか別
べつのテーブルについて食事することになった。こういうのもちょっ
と面白い。といっても会話はできるので、赤川次郎がある老人ホーム
では一人ずつ別のテーブルで食事をとることに決っているという話を
する。ウイスキーのソーダ割りを作ってもらって、お代りを重ねるう
ち、六、七杯も飲んでしまう。
 重松清が戻って来てからも、高野和明がなかなかやってこない。あ
とで聞くと上着を忘れ、途中から取りに戻ったらしい。ニコニコ動画
で全員、彼の記者会見を見る。インタヴューをしているのが、先日朝
日の文化グループ編集長を辞めたばかりの佐久間文子だったのでちょ
っと驚く。なあんだ、こんなことをしているのか。
 高野君、それまでは平気だったのに、受賞の知らせがあってから突
然どきどきしはじめたのだと言う。あと、われわれのところへ挨拶に
来たのだが、自分のセオリーを確固として持つ、なかなかいい男だ。
皆がそれぞれの疑問を彼にぶつけて問い質している光景はなかなか面
白かった。
 また新名君に送ってもらい、帰宅八時過ぎ。ビール二本を飲み、就
寝十二時。
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