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偽文士日碌

七月七日(日):675-676

「一族散らし語り」という短篇を書きはじめた。内容を光子に話し、
二十二、三枚になると言うと、突然「川端康成賞狙い」と叫んだのに
は驚いた。そんなこと、考えてはいなかったのだ。
 文進堂が「日碌」をどっさりと持ってきた。百冊注文したと言って
いたのに九十九冊だと言うから、どうしたのかと聞くと、署名落款し
てなくてもいいから早く読みたいと言って買って帰った客がいると言
う。この客は「聖痕」の時も同様だったそうで、せっかちな人もいる
ものだ。今日は半日署名落款に追われる。
 テアトロ・クチーナが六周年記念とやらで特別ディナーコースとい
うものを出している。定刻に行くと、すぐに予約客だけで満杯だ。涼
子さんに「日碌」を一冊贈呈する。光子はワイン、おれはバーボン。
「食前のお楽しみ」というのがトマトのゼリーで、「海の幸の地中海
風サラダ」では久しぶりにムール貝を食べた。明石で穫れるのだそう
だ。次いで甘味料は一切使っていないという「スイートコーンの冷製
スープ」。本当に甘いので驚く。あとは「淡路産鱧を使った手打ちパ
スタ料理」「旬の鮮魚のポワレとラタトゥイユのリゾット」、メイン
が「ニュージーランド産オーシャンビーフのパペットステーキ」で、
全部食べられたのは驚きだ。パスタとリゾットを一緒に食べたことな
どない。最後は「淡路産露地枇杷のコンポート、ジェラート添え」。
 帰宅後、懐かしやモンローの「ノックは無用」を見る。傑作だ。
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