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偽文士日碌

一月二十六日(木):1015-1016

されて今で一年ちょっとになりますが、あまり評判にもならず、評価
してくれる人も少く、あまり売れず、勿論どこからも文学賞など貰え
ない。昔の自分であれば、読み返して『ああ、ここが悪かった。ここ
も悪かった。全体的に悪い。テーマが悪い』などと自分で貶して自分
を納得させていたんですが、この度こんな賞を戴いて初めて、じゃあ
ちょっと読み返してみようかというんで読み返し、『ああ、ここがよ
かった、ここもよかった。全体的によい。テーマがいい』などと悦に
いっておりましたが、よく考えてみれはそんな程度の傑作なら現代で
はいっぱいある。そんな山の中からこの作品を救い出して下さった選
考委員の皆様には熱くお礼を申し上げます。この度はどうもありがと
うございました。サンキュー」
 そのあと写真撮影があり、パーティ会場へ移動。その前に煙草を喫
おうとして内藤麻里子に喫煙場所へ案内してもらったのだが、なんと
吹きっさらしの屋外。内藤さんに一本あげて一緒に喫う。会場に戻っ
てわが招待客たちと歓談。三十人しか招待できなかったのが残念だっ
た。皆、おれのスピーチを褒めてはくれたが、評判にならなかったと
いうのは違う、だとか、売れていないというのは嘘だなどという批判
が相次いだ。だって初版止まりじゃないか。(これは間違い。実は現
在五版)
 その他、今日の受賞者全員のスピーチについて、非常によかったと
いう意見が多かった。だらだら、長ながと話す人が誰もいず、時間も
三分か四分とまるで決められていたみたいにうまく話し、うまく切り
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