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偽文士日碌

十二月二十日(土):115-116

 目醒めて、神戸にいるのか東京にいるのか、暗闇の中で思い出せな
いことが多い。神戸の寝室は片側が壁なので、ベッドから降りようと
して壁に激突したりする。東京の寝室ではどっちへ降りていいのかわ
からない。
 スピリーバを忘れてきたことに気づく。他の薬と違ってこれだけは
冷蔵庫の中で保管するよう言われていたため、保冷剤を入れたタッパ
ーウエアで食料品と一緒に持ってこようと思っていながら忘れてきて
しまったのだ。しかし血圧を計るといつもよりだいぶ低かったので安
心する。そんなに毎日服まなくてもいいのかもしれない。
 朝食はその、神戸から持ってきた食料だけで間にあわせる。といっ
てもありったけのものを大量に持ってきたので、明太子、ベーコン、
しらすの大根おろし和え、卵かけご飯と、ほとんど神戸と同じだ。コ
ーヒーを飲む。だが新聞がない。朝刊を明日から入れるよう言ってあ
ったためだ。いささか寂しい。
 山崎医師の提案で、数日前からVOGUEの一ミリというのを喫っ
ている。以前、猪瀬直樹に一本貰って試したことがあるので、そんな
煙草があることを憶えていたのだ。だがこれはメンソールであり、い
ささか不味い。六ミリのレギュラーがまだ残っているので、今のとこ
ろは交互に喫っている。
「悪魔の辞典」の最終校正をやる。疑問の箇所がいくつもあるが、何
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