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偽文士日碌

十月十二日(日):75-76

 金融危機が世界中に拡大して、えらいことになっている。そんな時
にわし、こんな浮かれたことしとってええのかいな、などと思いなが
らも五時半、ハイヤーの迎えでテレビ東京へ。今日からはホテル・オ
ークラ近くにある虎の門の本社社屋での収録となる。
 無関係、などと言ってはいられないだろうな。テレビだって、金融
関連会社だけではなく不況で軒並みスポンサーがいなくなれば番組が
作れない。昔は不況になると本がよく売れるなどと言われたものだっ
たが、構造不況になれば本だって売れなくなることは以前のバブル崩
壊で実証済みだ。
 六時半からスタジオで記者会見。おれも質問を受け、ノーベル賞受
賞者が四人も出たことから、この番組で取りあげた人の中からノーベ
ル賞を取る人が出ればよいなどと話す。出演者それぞれに、何か他の
人にできないことができるかという質問があり、おれは「イパネマの
娘」の歌詞を「ティー・フォー・トゥー」のメロディで歌えること、
耳を動かせること、と答える。耳を動かしてくださいと言うので動か
してみせると皆、驚く。
 番組の中でもノーベル賞の話が出る。おれが下村さんのことを「ジ
ェンキンスさんまで取っちまった」と言うと三村マサカズが「あれは
似ているだけで本人ではない」と言い、三宅裕司は「筒井さんはボケ
る必要はない」と言う。ボケかたの手本を示したのに。
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