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偽文士日碌

三月六日(金):153-154

 わが家の近所、以前さつま寮で、その後中華料理アーぺレーヌとな
ったビルの跡地数百坪、及び個人の邸宅だった跡地百坪余の工事がい
ずれも中止となり、住民説明会もなくなった。隣りのビルも借り手が
なく、不動産屋が買わないかと言ってきた。数億あれば買って増築し
たいところだが、あいにくそんな金はない。それにしても、この辺の
土地まで売れなくなるとはな。いよいよ本格的大不況か。
 午後五時、朝日新聞文化グループの佐久間編集長と大上朝美が来宅
し、読書欄用の写真撮影の打合せその他、何やかやを話す。朝のうち
に書いておいた第一回目の原稿「田河水泡『のらくろ』」と、子供時
代の写真も渡す。そのあと、遊歩道をロケハンしながら表参道まで歩
いて「SMOKE」へ行く。ここでも撮影をするので、店の人たちと
その打合せ。
 やれやれ。やっと「SMOKE」へ来ることができましたよ。変な
ことを言うやつがいるものだから、もしかして永久に来られないのか
と思い、XUXUや山下洋輔と愉しく酒を飲んだ日のことを懐かしく
思い返しておったのだ。今夜はまずシャンパンで乾杯し、おれはキー
プ・ボトルのバーボン、女性二人はワインを飲む。シェフが特別に用
意しておいてくれたステーキも食べる。
 家に戻ると「ジャパン・オールスターズ」、なんとこの間わが家で
収録したばかりの回をやっていた。編集の早さには驚かされる。
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