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偽文士日碌

五月十七日(日):173-174

 神戸や大阪で新型インフルエンザの感染者が出はじめたというのに
なんと、今日は神戸のセトレで甥っ子の結婚式。しかも新婦の親類縁
者の多くは大阪から来る。その上朝から雨が降り、風が強い。
 午後一時に新さん夫婦が車で来てくれる。すでに朝から明石の魚棚
近くで朝食がわりの海鮮丼を食べてきたのだと言う。わが家で衣裳を
変えて、光子も加えて四人、車で明石海峡大橋の傍のセトレへ行く。
さすがに第二国道は空いていた。ロビーでは顔なじみのフロント嬢に
「お久しぶり」と挨拶される。ここへは、家の近くにテアトロ・クチ
ーナができるまでずっと、一階のイタリア料理店に来ていたのだ。
 新郎の父、義弟の吉晃君に出迎えられ、控室へ。新郎の母、久美子
さんのご両親も大阪からである。新郎の彰仁君の弟たちにも会う。式
は無宗教の人前結婚式というもので、これはわかりやすくてなかなか
よいものだ。彰仁君は歯科医で博士号を取っていて、新婦の麻衣子さ
んも歯科の先生である。ふたりとも友人が多くて、その数四十人にも
及ぶので吃驚。そのかわり今回は、伸輔たち従兄弟の列席はなしであ
る。わざわざ新幹線に乗ってインフルエンザ流行の地まで来なくてす
んだから、よかったのかもしれない。
 セトレ別棟の披露宴会場へ。新郎新婦の背景は大橋の下の白い波の
立つ明石海峡であり、誰かがスピーチでこの荒波を二人の門出に例え
ていたのがおかしかった。今までの披露宴とはまったく違った趣で、
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