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偽文士日碌

七月五日(日):199-200

 若い人はときどき「人生を感じる」なんてことを言うが、歳をとる
と常に人生は感じている。近しい人が死んで行き、若い人が歳をとっ
ていく。
 今日は松野家の母の三回忌で、朝十時、新さん夫婦が車でやってく
る。喜美子さんは光子が頼んでおいたお供えとお花を持ってきてくれ
た。新さんの車で松野歯科へ。吉晃君、訓子さん、このあいだ結婚し
たばかりの彰仁君と麻衣子さん、次男の裕志君と、今日の全員が揃っ
ていて、すでに法事の準備もできていて、ほどなくお坊さんがやって
くる。読経が始まり、順に焼香をする。読経はずいぶん長く、足がし
びれてしまった。
 三台の車を連ねて舞子霊園へ。墓はいちばん奥にあり、広い場所に
車を停められるので都合がいい。でかい山桃の木があり、その実が一
面に落ちていて、今まで山桃を食べていたらしいたくさんの鳥がいっ
せいに飛び立つ。坊さんの読経にあわせて順に線香をあげる。雨も降
らず、風があるので暑くもなく、いい日和りである。
 また車を連ねて、近くにある料亭「花菱」へ。一同日本間に落ちつ
き、吉晃君が「家族が一人増えたこと」などの挨拶をする。昼間だし
車の運転もあるから誰もビールは飲まず、烏龍茶で献杯。さすがに料
理はうまく、全部食べてしまった。散会後、家に戻って妻とふたり、
疲労と満腹でぶっ倒れるように寝てしまう。
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