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偽文士日碌

一月十九日(火):269-270

 急に忙しくなってきた。朗読会のプログラムの原稿を書いてメール
で送り、「アホの壁」の書店のポップ用に色紙にタイトルと署名落款
をしてEXパックで発送、朝日新聞の次回「漂流」のために「発狂し
た宇宙」を読み返して執筆、その次の「人間の手がまだ触れない」を
読み返しはじめる。このところ、SFが三回続くことになる。明日は
「アホの壁」の再校ゲラが届く。自分の小説を書き、好きな本(大江
健三郎「水死」)を読む時間がまったくとれない。
 それでも夜はやっぱり飲みに行く。今夜は一年ぶりのXUXUと山
下洋輔との「SMOKE」新年宴会。XUXUは「Lunalijio」
というCDをくれる。タイトルの意味をつかみ兼ねていたら山下氏が
たちまち「オリジナル」と解読。さすがジャズマン。収録されている
無題の曲を彼女たちが歌ってくれ、他の客たちから拍手が湧く。おれ
はターキー十三年物をひと瓶とって半分空けてしまったので、山下氏
驚いていた。帰途、全員がおれを自宅前まで送ってくれる。
 歓談の中でも出た話題だったが、昨日浅川マキが亡くなったばかり
である。昨年来、歌では浅川マキ、役者では奥村公延、SFでは柴野
拓美、学界では日高俊隆、評論では平岡正明と、知人が凄い勢いで他
界していく。おれの歳になれば皆がこのようなことを経験するのだろ
うか。多忙で誰の葬儀にも出席できなかったが、なあに、おれだって
もうすぐ皆の仲間入りだ。
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