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偽文士日碌

十一月十三日(土):397-398

 朝、窓から一望すれば見渡す限りの海、海、海。黄砂で霞んだか富
士山はかすかに見えただけ。八時に食堂で朝食。九時出発。二日続き
の早起きでさすがに眠い。また東名高速に乗って西へと戻る。浜名湖
PAに立ち寄って喫煙所に行くと、JTの社員だかアルバイトだかの
美しい女の子がLARKの宣伝をしていた。煙草の煙の中で一日中立
っているのかと思い、偉い偉いと感心する。嫌煙権のアホに爪の垢を
煎じて飲ませたい。
 豊田から伊勢湾岸自動車道に入る。狩谷PAに立ち寄って昼食。新
さんは拉麺、光子はうどんを食べる。喜美子さんは姿を見せなかった
から何を食べていたのかわからない。おれは団子をふた串買って立食
いし、光子の残したうどんを食べる。そのあと新さん以外の三人は珈
琲。
 名古屋港にさしかかると、いつも新幹線から見ていた名港トリトン
大橋を初めて渡ることになる。亀山ジャンクションから新名神に入っ
て信楽インターで降りる。信楽焼の店が並ぶ三〇七号線、近江グリー
ンロードを走り、長野中心地区にある窯元の大谷陶器というでかい店
まで来ると、立ち並ぶは大小無慮数千数万の信楽焼。狸をはじめ蛙、
フクロウ、犬、猫その他あらゆる動物から壺、花瓶、食器に至るまで
がぎっしり。圧倒される。ここで東京の玄関先用にフクロウを買い、
伸輔の家には可愛い狸を送る。ちょうど「信楽まちなか芸術祭」とい
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