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偽文士日碌

五月二十八日(土):465-466

 六時に目が醒め、もう眠れない。露天風呂に入り、八時半に朝食。
何やかやといっぱい出たが、おれは手作り湯豆腐と、あとは鮭、明太
子でお茶漬けを一杯だけ。部屋に戻ると色紙を二枚書かされる。
 十時半に出発。旅館の前で女将や従業員たちと記念撮影。タクシー
であちこち観光してまわる。まずは天然記念物の千年杉を見に行く。
なるほど一見の価値はあった。裏にまわると木の根方に洞があり、畳
三畳の広さがある。鉄柵で入れないようにしているのは、修行などと
称して住みつくやつが出るといけないからだろう。
 岩下コレクションというアホなものもあった。一階には昭和レトロ
館というものがあり、よくもこんなものまで集めたという雑貨が何万
点も展示されている。駄菓子、燐寸、ポスター、玩具、看板、電化製
品などなど。二階にはモーターサイクルの展示場があったが、おれは
疲れていたので見なかった。新さんの興味の対象でもあり、三人は階
段をあがって見に行き、おれは一階のアンティークに囲まれて、ヨー
ロッパのステンドグラスを眺める。あいにくの雨でステンドグラスの
見事さはよくわからなかった。
 由布高原美術館というのは世界中のガラス工芸品や磁器を蒐集した
館であり、館長が解説してくれる。光子はここで綺麗なレース編みを
買う。そのあと泉という古式手打そばの店に入り、そばを食べる。お
れはおろしそばをいただいたものの、旨いことはうまいのだが、半分
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