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偽文士日碌

十一月二十九日(木):595-596

 一年ぶりの旅行である。今日は本来なら東京で山田風太郎賞の授賞
式とパーティがあるのだが、その方は遠慮し、だいぶ以前からあちこ
ち予約していたこの旅となったのである。
 夫婦ふたり、新幹線で京都へ行き、タクシーで寺町の岡本歯科へ。
新さん喜美子さん夫婦とタクシーで永観堂へ赴く。紅葉の永観堂とし
て知られているが、まことに見事な紅葉、だがこれでも先日の雨でだ
いぶ散ったと聞く。地面に堆積した落ち葉の紅葉さえ色鮮やかで美し
い。
 拝観料はひとり千円と高価いが、えんえんと続く古建築と庭園、さ
らには多くの文化財などを拝観すれば、なるほどこれはそれくらいの
料金を取らねば維持できまいと納得。回廊のすぐ目の前にまで鮮やか
な岩垣紅葉が迫っている。禅林寺のご本尊は見返り阿弥陀。なんだか
色っぽい。虎の間には長谷川等伯の竹虎図など虎の障壁画。ここがい
ちばん面白かった。例によって行く先ざきのお堂で光子がお賽銭をあ
げるため、たちまち小銭がなくなる。姉妹は「三鈷の松」という、三
十センチもある珍しい三本葉を幸運のお守りとして貰っていた。無料
で頂戴できるのに、あまり誰も知らないということだ。
 何度か来たことのある南禅寺の三門周辺の境内や正面の本堂周辺を
ぶらぶらし、タクシーで四条へ。南座は明日、顔見世の初日である。
まねきや看板絵を見てから橋を渡り、鴨川を見おろせるイカリヤ食堂
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